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電子機器組み立て技能士試験と はんだ付け検定の違いについて

皆様初めまして。佐伯@新人はんだ付け職人です。
この4月より、転職をして参りました。

どうぞよろしくお願い致します。

 

◆ 私の自己紹介(簡単に…)

私は、前職在職中に「1級電子機器組立て技能士」という国家資格を取得させて頂き
過去には平成8年と平成9年に技能五輪全国大会(電子機器組立て職種)へ
出場経験がございます。

前職では、完成車メーカーの車両開発・評価部署に所属しておりました。

業務を進める過程で、治具(電子回路)を
自分たちで作るといった事もしておりました。
開発という業務の特性上一点モノの製作が多く、実装方法としては
いわゆる蛇の目基板の上にアキシャル部品
スズメッキ線を使い手ではんだ付けして製作する、
あるいは、生基板をエッチングなどで配線パターンを作るなど
電子工作に近い方法が主でした。

技能士という国家資格も持っているし、
そのような経験があり、手で行うはんだ付け作業については
自分ではある程度は腕に覚えがあるつもりでおりました。

 

◆ はんだ付け職人の技との出会い

ところがそんなある日、インターネットで検索をかけていた時に
当協会で行っているはんだ付け講習・検定
超微細チップ部品を手ではんだ付けを行っている動画に出会いました。

それまでずっと
「3216サイズ以下のチップ部品などはマウンター装置を使って
はんだ付けするものだ、手はんだは出来ないしやらないだろう」
と思っていた私にとってそれは衝撃でした。

改めてはんだ付け作業の奥深さを再認識させて頂いた瞬間でした。

そのようなご縁を頂き、はんだ付け職人を目指して転職をして参った訳です。

 

◆ このブログ記事で何がわかるか

このブログ記事では

国家資格「電子機器組立て技能士」や「技能五輪 電子機器組み立て職種」と
当協会が行っている「はんだ付け講習」「はんだ付け検定」は
は何が違うのか

という事について、
両方を見たことがある私の視点から述べさせていただきたく思います。

 

◆ 技能士試験(技能検定)や技能五輪で求められる技能

国家資格である技能士試験(技能検定)や、技能五輪では

与えられた材料やルールに則ってひとつの電子機器という製品(課題)を製作する

技能が求められます。

はんだ付け作業にフォーカスすると
「使われるチップ部品は3216サイズ」など
ある程度決まった形になっているため(ご参考:中央職業能力開発協会 技能検定試験問題公開サイト
受験者や選手は3216サイズ部品をはんだ付け出来るように練習をします。
裏を返せば、それ以外の小さい部品は作業をする機会がなく

はんだ付けに関する応用が利きにくくなる

という点はデメリットであるとも言えます。

私が超微細チップ部品を手ではんだ付けを行っている動画に出会って衝撃を受けたのも
それまでは技能士や技能五輪でのはんだ付けしか知らなかった為
「こんなことを手ではんだ付けする世界があるのか」と思ったからです。

 

【ご参考】 技能士(技能検定)電子機器組立て職種

ひとくちで技能士と申しましても多様な職種に分かれております。

私の所持する電子機器組立て職種では
ひとつの電子機器を組み立てる一連の作業がその検定対象となるため
はんだ付け作業だけに留まらず、
シャシーの組み立てやワイヤーハーネスの製作技能に至るまで
幅広い製作技能を問われることになります。

 

【ご参考】 技能五輪 電子機器組立て職種

技能五輪は、青年技能者の技能レベルの日本一を競う大会で
出場するためには技能検定2級相当以上であることが求められます。
(ご参考:厚生労働省ウェブサイト

技能五輪電子機器組立て職種で製作するものは
技能士に求められる製作技能(もちろんはんだ付けも含みます)よりも
更に高い作業品質と更に早い作業速度といった技能を求められ
とても難易度の高いものとなっています。

また、時代の技術トレンドに対応した技能を競うという点も技能五輪の特徴です。

私が出場した平成8年頃は実装技能を競い合うことが主でしたが、
近年では回路設計やCAD製図、マイコンプログラミング、
故障解析に至るまで非常に広範囲にわたっているのが現状です。

 

◆NPO日本はんだ付け協会における講習、検定で習得できる技能

NPO日本はんだ付け協会でご提供させていただいている講習・検定は
はんだ付け作業にスポットを当てたものとなっております。

はんだ付け作業による金属接合の原理原則やはんだ状態の良否判断基準を
知ったうえで大小様々なサイズの電子部品を扱い、
配線パターンの形状による作業性の変化を体感することが出来るため

世間に流通しているプリント基板へ対してのはんだ付け技能の向上など、
はんだ付け技能を実情に沿って広く応用力を習得することが出来る

といった点が特徴となっております。

 

◇ 具体例:

・3216サイズ以下の微小チップ部品やQFPのはんだ付け技能

技能士(技能検定)で扱うサイズは3216サイズまでが主ですが
当協会の講習・検定では、1級では1005サイズまで対応して講習・検定を行っています

・フラックスを用いたはんだ付け

技能士(技能検定)では使用工具に制限があり、フラックスの使用は認められていません。
ですが、鉛フリーはんだをより適切に扱う為にはフラックスを扱う技能は必須の技能となります。当協会の講習・検定では、フラックスの扱い方技能も学んでいただけます。

・コテ先の扱い方

プリント基板に搭載される様々な部品の形や大きさ、配線パターンに応じてC型やD型など適切なコテ先を選定する技能は高品質にはんだ付けを行うためには重要な技能といえます。
この点、蛇の目基板へのはんだ付けが基本の技能士(技能検定)ではなかなか得にくい技能ですが、当協会の講習・検定の実技課題は世間の実情に合わせて様々な部品やパターンをご用意しており、みっちり訓練することができます。

・顕微鏡を用いた良否判定眼

ご自身の行ったはんだ付けの状態を顕微鏡で確認して
非常に細かいレベルで良否判定をすることが出来るようになります。
自分でよく観察することで納得感を得つつ
改善へのアクションを考えることが容易になるでしょう

 

以上、長々と書いてしまいました。
ここまでお付き合いいただきありがとうございます。

技能士試験には技能士試験の、当協会の講習・検定には当協会の、
それぞれメリデメがあると感じていますが
実戦に即した高度で応用力のあるはんだ付け技能を求めて訓練するのであれば、
当協会の講習・検定に軍配があがるのではないだろうかと私は感じています。

私も引き続き精進してまいりたいと思います。

改めてどうぞよろしくお願い致します。

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