はんだ付けに光を! 外国人技能実習生向け技能検定 電子機器組立 随時3級
はんだ付けに光を! 外国人技能実習生向け技能検定 電子機器組立 随時3級の難易度(2020.8.28)
こんにちは、はんだ付け職人です。
今日は、「外国人技能実習生向け技能検定 電子機器組立 随時3級」の
はんだ付けの難易度についてのお話しです。
技能検定 電子機器組立 随時3級については、
巷では、工業高校卒業程度の力が無いと合格しないと言われているそうですが、
これは、「出題された問題を理解することができる」という意味であって、
問題が読めるからと言って実技試験に合格できるだけの力があるというわけではありません。
こちらに、公開されている「中央職業能力開発協会」の
実技試験の問題があります。
https://bit.ly/32r2M7G
また、こちらに厚生労働省が公開している詳しいマニュアルがあります。
https://waza.mhlw.go.jp/shidousya/pdf/denshikiki.pdf
この問題とマニュアル、電子機器の知識がある人でも
なかなか正確に理解して実行に移すことは難しいです。
まして日本語が堪能でない外国人ならなおさらです。
実技の試験時間は1時間30分しかないのですが、
この時間内に教材を完成させるためには、最低でも3回は
予行練習しておく必要があります。
さて、この教材で一番ネックとなるのは表面実装部品のはんだ付け(実装)です。
この基板、おそらく30~40年前に設計されたと思われますが、
コストダウンの狙いもあってか、レジストが無く、パターンにメッキも施されていません。
また、部品の推奨パターン(ランド)よりも、かなり大きなランドになっています。
このため、パターンは非常に酸化しやすく、はんだに濡れにくい仕様になっています。
部品もリールで購入したものを小さく小分けして使用せざるを得ないため、
購入からある程度の日数を経過していると思われます。
(部品の端子もはんだに濡れにくい)
さらには、この実技試験では、フラックスの塗布や洗浄は認められていません。
この条件下で、短い時間内に適切なはんだ量でフィレットを形成するのは、
非常に難易度が高いです。
特にSOPとトランジスタの実装に苦労します。
※参考
レジストのある基板でフラックスと洗浄液を使うと、このようにキレイにはんだ付け出来ます。
私がいくつか実験してみた感じでは、
1.部品を仮はんだ付けして位置決めした後に、
2.いったん、リードとランド全体をはんだで濡らすために、はんだを多めに盛り、
3.WICKでランド上のはんだを2/3除去して、
4.コテ先にわずかに付着させたはんだに含まれるフラックスと、WICKに塗布されていた
フラックスを活用して、ランドと端子を加熱してフィレットを形成する
のが、一番早くキレイに仕上がるようでした。
しかし、普段はんだ付けをあまりやっていない外国人技能実習生に
この技術を求めるのはあまりに酷で、教えられる日本人も極わずかしかいないだろうと
思われます。
※普段、レジストが使われていてパターンがメッキされている基板を
はんだ付けされている人には出来ないと思います。
機械式(電動)のはんだ除去機は使用が認められているのですから、
フラックスと洗浄液の使用も認めてあげると、ずいぶん楽になるのになあ・・
と思います。
「外国人技能実習生向け技能検定 電子機器組立 随時3級」の
指導でお困りの方は、ご相談ください。
https://handa-npo.com/foreigner
お役に立てば幸いです。
では、明るいはんだ付けを!
※先日静岡県に講習にお伺いしたところ、突然汽笛の音が聞こえたので
窓をあけてみたところトーマスが居ました。
実際に人を載せて走っているそうで驚きました。
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公開はんだ付け講習会・検定のお知らせ
①2020年10月15,16日 広島(太洋電機産業株式会社さん会場お借りします)講習会
②2020年11月5,6日 千葉幕張(高度ポリテクセンター)講習会