はんだ付けに光を!はんだ付け検定よくある不具合 ダイオードブリッジ編
こんにちは、はんだ付け職人です。
今日は、はんだ付け検定で多く発生する不具合についての
5回目です。(実際に検定で発生した不具合例)
受験者の方が、真剣にはんだ付け検定に挑戦された結果、発生した
不具合例をご覧いただくことで、日常のはんだ付けで
発生している不良の発生原因などが理解していただけると思います。
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この記事の内容は2017年にメルマガやblogで発信し、
以来多くの方にアクセスして頂いている記事のため、
一部内容を編集し改めて
「はんだ付け検定よくある不具合」6回シリーズとして再度アップしております。
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5回目の今日は、表面実装部品で前回紹介いたしました
SOPに良く似たリード形状のダイオードブリッジのはんだ付けです。
リード数がSOPよりも少ないので「簡単だろう・・」
「同じようなものだろう・・」と思うと大間違いです。
2級、3級の検定では、この部品が一番難易度が高いです。
というのも、こうした端子の切断面は、プレスで加工されていることが
多く、切断面にメッキがないために酸化し易くはんだに濡れにくい
からです。
では、さっそくご覧いただきましょう。
これが、良品の写真で適正なはんだ量の見本です。
端子の表面と基板のランドが滑らかな曲面で構成される
はんだに覆われており、なお且つ端子の形状を
見て取ることが出来ます。
また、端子の4面は綺麗にはんだに濡れており、
滑らかに形成されたはんだ曲面は凹んでいます。
これがフィレットです。
鉛フリーハンダですが
艶がありピカッと光っていますね。
ランドの大きさには2種類あり、小さなランドのほうは、
はんだ量のコントロールが非常に難しい課題です。
ではいつものように、この映像をイメージしたままで
次の写真を見ていただきましょう。
これは、オーバーヒートを起こしているものです。
表面のフラックス膜が破れて、はんだの素地が大気に触れ、
はんだ表面が凸凹、ザラザラに変質しています。
(酸化している)
はんだ量も多すぎるため端子形状がわからなくなっています。
(発生率の高い不具合です)
次の写真は、はんだ量過多。
この課題は、はんだ量のコントロール能力を問うものですが、
半数以上の方がはんだ量が多くなりすぎる傾向があります。
はんだ量が多くなりすぎると、第3者には熱不足のものと見分けが付かず、
端子やランドの不具合によって濡れが悪い場合にでも
隠されてしまうため、不良として判定します。
WICKの使い方、コテ先の当て方、熱の伝え方が鍵になります。
それでは その鍵を教えてくれよ・・・と思われる方も多いでしょう。
しかしながら、実際にはんだの溶ける様、コテ先の角度、
WICKWを使う時間について 文章だけでお伝えすることはリスクがございます。
ここが 実技検定の難しい点です。
実際に講習にお越し頂くか、解説付きの動画(DVD)で学習して頂くしか
現状では方法がございませんので 一度ご検討をお願いします。
次の写真例は、はんだ量が少なすぎるもの。
良品と比較するとフィレットが形成されていないのがお解かりになると思います。
修正のためにWick(ウイック)などで
ハンダを除去した後、はんだが追加されていないものと推測されます。
色が同じでわかりにくいため肉眼では見落としが発生しやすいです。
フラックスを塗布して、はんだを追加してやれば簡単に修正できます。
次にご覧いただくのは端子の浮きです。
端子とランドにはんだが載っていた場合、真上から見ると
色が同じなので気付きにくいです。
また、浮きを恐れて部品を強く上から押さえると
端子が軟らかいので簡単に曲がってしまうため、
端子が歪んで浮きが発生することもあります。
続いて、端子への濡れ不良。
発生する比率がとても高い上に、肉眼で観察してもわかりにくい不具合です。
拡大して見てみると
端子がはんだに濡れていないのが
わかるかと思います。
最初は電気的導通はあるものの、気温の変化や通電して基板が温まると
導通不良となり、発熱や発火の恐れがあるはんだ付け不良です。
濡れ不良の程度が少し悪くなると写真のように
未はんだになってしまうこともよくあります。
これも顕微鏡で見れば一目瞭然ですが、肉眼ではわかりにくく
漏らしてしまう方が多い不良です。
それから、これも見逃されやすい不良です。
熱不足でバックフィレットが形成されていないもの。
あるいは、WICKではんだが除去されたままで
バックフィレットが無いもの。
(バックフィレット=足のかかとに相当する位置)
この部品を実装する時の鍵は、ランド面と端子に的確に
コテ先を当てて、フラックスが活きている間に
はんだ付けに最適な熱量を伝えることにあります。。
そのためには例えば、次の写真のようにD型コテ先の
先端をランドに、横の平らな面を端子の側面に当てるといった
使い方が推奨されます。
では、明るいはんだ付けを!