工程審査対応
お客様は、どんな点をチェックしている?どんな準備が必要か?
はんだ付けの観点から見た、一般的な工程審査・工場監査のチェック項目を列挙しました。
また、合わせてたたき台となる「サンプル帳票類」を紹介しておきますので自社の実態に合わせて製作してみてください。
会員様専用ページでは、エクセル、ワード形式で提供していますので、自由に加工できます。
※あくまで、サンプルですので「これが正しい」というものではありません。
1.品質保証体制詳しくはこちら
チェック項目 | 要約すると | 準備しておきたいもの | |
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1-1 | 会社の各部門において、品質管理業務は明確か? | これは、要するに品質管理の業務を会社の組織図や職務分掌の概要などで明文化しているかどうかを問うています。 ※たとえば、どこの部門が出荷検査を行っているのかが明確になっておらず、その都度、 手のあいた人が検査をしていたのでは、まずいわけです。 |
職務分掌図を作成しておきます。 1:会社の組織図のサンプル 2:職務分掌の概要表サンプル |
1-2 | 品質管理教育が計画的に行われているか? | 品質管理担当者に品質管理の必須知識を計画的に教育します。 社内に教育機関を創るか、外部講師に依頼する、セミナーを受講するなどの方法が考えられます。 |
品質管理知識の教育計画を立てておきます。 県の工業センターなどでも、定期的にセミナーが行われていますのでこうしたセミナーに参加するのも教育受講の記録や終了証を保管しておきます。 |
2.要求品質の把握詳しくはこちら
チェック項目 | 要約すると | 準備しておきたいもの | |
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2-1 | 当社(客先)の要求品質を確実に把握していますか? | はんだ付けの要求品質は、客先や、商品の性質によっても大きく変わります。 今までの自社の基準とは、大きく違うことがあるので、よく確認しておく必要があります。 ※たとえば、図面をもらうだけであったり、TELやFAXで「その都度確認してるよ」というのは、細部まで要求品質を把握していないことになります。 |
客先の「はんだ付け品質基準書」を入手しておきます。 生産に必要な、図面、標準類を入手しておきます。 打ち合わせ内容を議事録に残しておきます。 チェックリストなどを作成して確認事項を明確にしておきます。 6:要求品質チェックリストサンプル ※使用するハンダの指定がないか?など・・ |
2-2 | 把握した要求品質を正しく社内関係部門に伝達していますか? | 品質管理担当者に品質管理の必須知識を計画的に教育します。 社内に教育機関を創るか、外部講師に依頼する、セミナーを受講するなどの方法が考えられます。 |
品質管理知識の教育計画を立てておきます。 県の工業センターなどでも、定期的にセミナーが行われていますので、こうしたセミナーに参加するのもひとつの方法です。 教育受講の記録や終了証を保管しておきます。 |
3.図面、標準類の管理詳しくはこちら
チェック項目 | 要約すると | 準備しておきたいもの | |
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3-1 | 図面、標準類の管理責任者は? また、その管理業務は明確ですか? | これは、文面の通りです。図面、標準類を誰が、どのように管理しますか?と問われています。 | 管理責任者を定めておきます。 (職務分掌図に記載)図面、標準類、「はんだ付け品質基準書」を管理台帳を作成して管理します。 配布の際に受領証を発行します。 改訂があった際に、どのように連絡するのか?旧図面を含め、回収のルールを決めておきます。 7:図面・標準類配布案内書サンプル 8:図面・標準類 受領書サンプル 9:図面・標準類管理台帳サンプル |
3-2 | 必要部門に図面、標準類が配布されており常に最新のものが保有されているか? | これは、実際にお客さんが工場監査の際に、チェックしやすい項目です。 管理台帳と照らし合わせて、抜き打ちでチェックされる場合が多いです。 要は、上記の3-1項が、正しく運用されているかどうかをチェックされます。 |
上記の3-1項が、正しく運用されていれば問題ありません。 ※外注さんの管理は大丈夫でしょうか。自社と外注さんで図面が違ったりするとまずいですね。 |
3-3 | 図面、標準類の改訂を関係部門に周知徹底するルールがあるか? | これは、見逃されがちな項目です。 図面、標準類を差し替えるだけでどこが変更されたのか、説明がない場合が多いのではないでしょうか。 変更、改訂した部分を文書で連絡するようなルールが欲しいです。 |
図面、標準類の改訂の際、改訂、変更点が明確にされ、いつ?誰が?なぜ?変更したのか。 いつから適用されるのかを文書にして、新しい図面、標準類と共に配布します。 10:工程変更連絡書サンプル |
3-4 | 図面、標準類に疑義が生じた時はどうするか? | 要は、自社で「勝手に問題解決しないよ」というルールになっていればOKです。 | 問題発生時に、必ず客先に連絡がされるようなルールが必要です。 「仕様変更依頼書」」といった文書をフォーマットとして作成し、客先から返事があるまで、ラインを停止するといったルールを明示しておきます。 11:仕様変更依頼書サンプル |
3-5 | 不要の図面、標準類は客先に返却されているか? | これは、3-1項で自社内の管理を問われていましたが、客先との図面、標準類の管理はどうですか?と問われています。 | 客先に返却した図面、標準類が管理台帳で確認できて、客先からの受領書が保管されていること。 |
3-6 | 図面、標準類の作成、改訂、廃棄する時は 関係者によって内容が検討されているか? | 要は、社内の誰かが勝手に図面や、標準類を改訂しないか?を問われています。 | 作成者、照査、認可者を文書で定めておきます。 ※職務分掌図に記載また、標準類に必ず押印がされていること。該当者がない場合は、斜線で消しこむこと。 |
4.支給品の確認と管理詳しくはこちら
チェック項目 | 要約すると | 準備しておきたいもの | |
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4-1 | 支給品の受領時に適切な確認がされているか? | これは、支給された部品をなんのチェックもせずに使用しはじめることがないか?を問われています。 納期も間近になって、「部品が足りない」「部品の形状が違う」といった不具合が発生するのを防ぐ意味もあります。 |
支給品を受け取る際に員数、形式、外観のチェックを毎回行います。
また、その記録を残します。チェックシートを作成する方法もありますが業務が膨大になる恐れがあります。 客先の出荷リスト(送り状)を使って、員数、形式、ラベル、の照合と外観のチェックを行い、一定期間保管しておくと良いでしょう。 |
4-2 | 支給品に不具合が発見された場合、客先に連絡、返品が行われているか? | これは、部品の不具合のフィードバックが、素早く行われるのが理想です。 不具合が発見されたら、その都度、客先に連絡し、不具合発生連絡票を添付して返却するような、ルールにしておくと良いですね。 部品の不具合があっても、黙って選別して使用するようではダメなわけです。 |
「不具合発生連絡票」のフォーマットを作成しておきます。 支給品のロットNo、不良数、不良内容などを記入する。客先からの返事がもらえるような、フォーマットのほうが良い。 12:不具合発生連絡票サンプル |
5.再製造委託先(外注先)の管理詳しくはこちら
チェック項目 | 要約すると | 準備しておきたいもの | |
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5-1 | 再製造委託先(外注先)を客先に連絡しているか? | 客先にしてみると、自社内で製造(はんだ付け)していると思っていたのに、勝手に外注さんに作業を任せていたのでは困るわけです。 ひょっとすると、工程や製造方法を勝手に変えていたり、設備的にはんだ付け条件が満たせていない可能性もあります。 不具合が発生した時に大きな問題になる可能性があります。 |
再製造委託先(外注先)のリストを作成して報告しておきます。 また、その作業内容を一覧にしておくと良いでしょう。 13:再製造委託先調査表サンプル 14:再製造委託部品・作業一覧表サンプル |
5-2 | 再製造委託先(外注先)に客先の要求品質を正しく伝達しているか? | これは、上記の5-1項とも関連します。いい加減な作業指導などをしていると、品質に直接影響します。 自社内と同じ品質で製造(はんだ付け)できるかどうか確認しておく必要があります。 外注さんの管理については、お客さんが外注さんに出向いてチェックされることもあります。 整合性に注意が必要です。 |
発注時には、作業標準を文書で渡して指導を行います。 初回ロットの生産時には、立会いのもと、品質確認を行い、作業指導記録を残しておきます。 15:作業指導記録サンプル |
5-3 | 再製造委託先(外注先)で不具合が発生した時の処置 | 不具合が発生した時に、自社内と同等の原因追究、原因対策がされているかが問われます。 | 外注先へ出向く、または、外注先の責任者に来社してもらって、不具合発生の原因と対策について打ち合わせを行い、その結果を文書にして対策を行います。 対策の結果をフォロー、確認して記録を残しておきます。 12:不具合発生連絡票サンプル をそのまま再製造委託先(外注先)に 使用しても良いでしょう。 |
5-4 | 再製造委託先(外注先)の品質状況を把握し、改善活動の指導を行っているか? | どうやって品質状況を把握しているか?が問われます。 定期的、または何らかの問題が発生した際に、再製造委託先(外注先)を訪問し、工程を確認しておかねばなりません。 また、必要があれば、気付いた問題点を指摘して改善してもらいます。 |
「再製造委託先(外注先)を訪問して工程を、確認、診断を行います。その結果を残しておきます。 16:診断 監査報告書サンプル 問題点については、期限を決めて処置・対策を実施してもらいます。 また、その記録を残しておきます。 17:処置対策、フォロー効果確認報告書サンプル 改善事項は、後日、フォローを行い、効果を確認しておきます。 |
6.初回品の品質管理と初期流動管理詳しくはこちら
チェック項目 | 要約すると | 準備しておきたいもの | |
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6-1 | 新商品、設計変更後の初回品、工程変更後の初回品は、品質確認を実施しているか? | 品質確認を行わないまま量産に入ってしまうと、不良品が多量に造られてしまう可能性があります。 | 全はんだ付けポイントの外観検査と、電気的な検査を実施して(動作テストなど)設計変更や工程変更が、はんだ付けに影響しないことを確認しておきます。 問題点があれば、はんだ付けの条件を見直すなどの対策を打ちます。 また、品質確認検査の結果と、何を改善したのか、その記録が見せられるようにしておきます。 18:工程・品質確認報告書サンプル 17:処置・対策報告書サンプル(共用) |
6-2 | 再製造委託先(外注先)に客先の要求品質を正しく伝達しているか? | 初期流動管理というとあまり聞きなれない言葉ですが、例えば新製品のラインを立ち上げた際に、初回ロットから品質が落ち着くまでの間はんだ付けに関しては、 どういう検査をおこなうのか?といった点を問われます。 | 初期流動管理の内容を決めておきます。 たとえば、目視検査でいいのか? 実体顕微鏡を使うのか?拡大鏡なら何倍を使うのか?全数検査を行うのか?電気的な検査はどうするのか?(動作テストなど・・)を決めておきます。 19:初期流動管理実施事項サンプル また、その結果を見ながら製造標準類を作成することになりますので、量産に移った際の具体的な外観検査方法(目視?顕微鏡?) 電気的な検査、ハンダゴテの管理、はんだ付け条件(ハンダゴテやコテ先、使用する糸ハンダ、こて先温度etc)を決めることができる、検査内容が前提です。 |
6-3 | 初期流動管理の収束条件が定められているか?また、責任者が判定しているか? | いつまで初期流動品管理をやりますか?ということを問われています。 要は一般の量産品と同じ管理にするまでにはどのような基準を満たさねばならないのか?を決めておきます。 |
たとえば、はんだ付けの致命的な欠陥(未ハンダやショートなど)が10ロット連続で0%になったら、全数検査をやめて、抜き取り検査に移行する・・といった収束条件を決めておきます。 また、この収束条件が満たされていることを品質の最高責任者が確認して量産に移行することを文書にしておきます。 20:初期流動管理の収束条件確認書サンプル |
7.製造工程の管理詳しくはこちら
チェック項目 | 要約すると | 準備しておきたいもの | |
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7-1 | 製造標準類(QC工程図、作業手順書)が作成され、現場で活用できるように整備されているか? | いつも同じ工程、材料、手順で製造するために必要な書類が揃っていますか?を問われています。 | QC工程図、作業手順書を作成しておきます。 21:QC工程図のサンプル 現場ですぐに確認できるように掲示、または、すぐに取り出せるようにしておきます。 |
7-2 | QC工程図の管理ポイントが明確になっており、管理基準が定量化されているか? | 作成されたQC工程図が役に立つかどうかを問われています。 | 21:QC工程図のサンプル を参照に、製造工程図、工程No、工程名、管理項目、管理基準、管理方法関連標準名とNoを記しておきます。 |
7-3 | QC工程図と作業標準、作業手順書は整合できているか? | QC工程図と作業標準類の整合性を問われています。 | 整合を確認しておきます。 ※たとえば、QC工程図と作業手順書で指示されている「コテ先温度」が異なっていたりしないこと。 |
7-4 | 製造標準類(QC工程図、作業手順書)通りの作業ができているか? | これが、工程審査・工場監査の現場確認のメインです。ときおり、実際の作業者へのヒアリングなどを交えてチェックされます。 |
早めに、自社内で工程審査のシュミレーションを実施しておきます。 実際の作業と違っている点は必ず見つかるものです。ハンダゴテの運び方、こて先の当て方などは要注意です。 |
7-5 | 作業に関する教育、訓練が行われているか?(新入社員、新設備、新規作業) | はんだ付けは特殊工程に位置付けられています。 はんだ付け作業に携わる前には基礎教育と実技訓練が必要です。 教育計画を立て、はんだ付けの基礎知識教育、実技訓練を行います。 社内にはんだ付けの教育機関を創るか、外部講師に依頼する、セミナーを受講するなどの方法が考えられます。 |
初めて、はんだ付け作業に携わる人には基礎教育と実技訓練を行います。 また、その記録を残しておきます。必要ならば、はんだ付け冶具の使用方法も指導して、その記録を残しておきます。 15:作業指導記録サンプル(共用) 4:教育計画サンプル 5:教育受講の記録サンプル |
7-6 | 工程変更の管理と事前連絡が行われているか? | 製造標準類(QC工程図、作業手順書)に変更がある場合どうしますか?と問われています。 | 製造標準類(QC工程図、作業手順書)に変更がある場合は、(はんだ付け冶工具が変わる時、はんだ付け条件が変わる時など) 10:工程変更連絡書サンプル(共用) 事前に製造ラインに連絡を行い(いつ?どのロットから?)6-1項の品質確認を行う。 |
7-7 | 重大不良発生時には、工程審査、製品確認が行われているか? また、定期的に工程審査が行われているか? |
重大不良発生時には当然ですができれば、半年に1回程度工程審査を行って、記録を残しておきたいものです。 | 半年に1回、工程審査を行い、その記録を残しておきます。 22:工程審査報告書サンプル |
7-8 | 工程不良、または製品不良発生時の処置、対策は迅速に実施されているか? また、その対策の効果は確認が行われてるか? |
不良が発生した時にある程度貯まってから、まとめて処理したり、対策を打っても、そのまま放置したりしていませんか? | たとえば、はんだ付け不良が発生した場合、はんだ付け冶工具が悪いのか? はんだ付け条件が悪いのか?作業者が手順を守っていないのか?部品が悪いのか? 迅速に原因を追究して対策を打ちます。 また対策の結果、効果を確認して記録しておきます。 12:不具合発生連絡票(サンプル参照) がきちんと運用されていれば大丈夫です。 |
7-9 | 工程の異常が発生した場合の判断基準その処理方法が明確になっているか? また、そのとおりに実施されているか? (設備の異常時 停電などを含む) |
異常時の判断基準 (どのような不良が発生した時か?不良率が何%を超えたら?) 異常時の報告手順製品の処置方法記録の残し方関係者への伝達方法はどうなっていますか? |
異常の判断基準については、たとえば外観検査において、未ハンダが1点でも発見された場合、ラインを停止して仕掛かり中の製品を全数検査を行う・・や
始業点検時にハンダゴテに異常が見つかった場合、前日の仕掛品を全数 検査行う・・といったルールを定めておきます。 24:異常時の処置(掲示用)サンプル |
7-10 | 技能を要求される作業は技能認定者が従事しているか? | はんだ付けは、特殊工程ですので技能認定者の作業を求められます。 | たとえば、社内に「技能認定委員会」を設立して、はんだ付けの基礎知識と実技実習を行います。 その上で、筆記テスト、実技テストを実施して合格者を技能認定者として認定します。 認定者のリストを作成しておきます。 3:はんだ付け技能認定者リストサンプル 第3者の認定期間としては、「日本溶接協会」のマイクロソルダリング技術資格 詳しくはこちら→→→CLICK 当NPO「日本はんだ付け協会」の「はんだ付け検定」があります。 詳しくはこちら→→→CLICK こうした認定制度も、ぜひご利用ください。 |
8.設備、計測器の管理詳しくはこちら
チェック項目 | 要約すると | 準備しておきたいもの | |
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8-1 | 計測器のトレーサビリティ体系は明確になっているか? | はんだ付けに使用する計測器はこて先温度計や温度計が一般的です。 トレーサビリティとは、その測定器が「なぜ信用できるのか?」ということの証明です。 |
測定器を購入したメーカーで、トレーサビリティ体系図を入手しておきます。 EXSAMPLE |
8-2 | 設備は管理台帳などによって整備できているか? | 要は、使用しているハンダゴテや冶工具がいつの間にか別のモノに替わっていたり、修理されていたりすると、品質に影響を及ぼすので管理を要求されるわけです。 | ハンダゴテ、はんだ付け冶工具を管理台帳で管理を行います。 Noを取って、保有登録を行い、修理の履歴も残しておきます。 25:設備・冶工具 管理台帳サンプル |
8-3 | 設備は管理台帳などによって整備できているか? | 上記と同様 | 上記と同様 26:計測器 管理台帳サンプル |
8-4 | 計測器は定期校正を行い、精度表示や有効期限の表示を行っているか? | 測定器は、徐々に狂ってきます。 定期的に校正を行います。 |
1年に1回測定器の校正を行い、その記録を残しておきます。 測定器には校正の有効期限を明示しておきます。 こて先温度計なら、何℃まで測定可能か精度を表示しておきます。 ※0.1℃まで測定可能・・など ※こて先温度計では、交換用熱電対に校正済みのものが販売されていることがありますのでそうしたものを利用する手もあります。 |
8-5 | 設備、冶工具は、始業時点検、定期点検を実施し、有効期限を明示しているか? | ハンダゴテやはんだ付け冶工具に異常があると不良が発生します。 日常的、定期的に点検をしているかの確認です。 |
ハンダゴテは、始業時にこて先温度、こて先の状態、スポンジの状態、リーク電流などを点検します。 27:ハンダゴテ始業時点検表サンプル はんだ付け冶具については、ハンダやフラックスの付着や磨耗具合などを点検します。 |
9.検査詳しくはこちら
チェック項目 | 要約すると | 準備しておきたいもの | |
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9-1 | 受け入れ時、中間品、出荷時の検査において検査基準書はあるか? | はんだ付けに的を絞ると、表面実装部品、リード部品、コネクタ端子部品について、ベースとなる「はんだ付けの品質基準書」があり、受注部品単位で特記事項があれば標準書や検査基準書に記載しておくと望ましい。 | 自社の「はんだ付け品質基準書」 28:はんだ付け品質基準書サンプル 受け入れ時、中間品、出荷時の検査において「はんだ付け品質基準書」を検査基準とします。 |
9-2 | 上記と同様、検査基準書に基づいて検査が実施され、その記録が残されているか? | 検査を行った際は、記録を残しておかないと検査を実施した証明ができません。 不良が流出した際に、検査記録が示せないと最悪の場合、全数回収、全数検査となってしまいます。 |
ロット毎に発行する製造記録書に検査の日付け、検査者名、検査数、不良数などを記録して保存しておきます。 29:製造記録書サンプル |
9-3 | 検査で発見された不良品、不合格品は文書で製造部署へ連絡しているか? また、対策、処置は確実に行われているか? |
不良品が発生した時のフィードバックのためのルールを問われています。 文書での製造部署への連絡と、対策、処置の報告が製造部署から戻ってきているかを見られます。 |
自社内で、不具合発生連絡書と処置対策回答書を運用します。 回答をきちんと回収して、対策が確実に行われてるかを確認しておきます。 12:不具合発生連絡書サンプル ・処置対策回答書サンプル |
9-4 | 官能検査の対象について限度見本が整備されているか? | はんだ付けの外観検査は、人間の目による官能検査です。 人によって判定基準が変わったりしないよう、目あわせのできる限度見本が必要です。 |
不良の限度見本または、良品の限度見本を作成します。 写真の使用もOK。 28:はんだ付けの品質基準書 に写真を取り入れておくと、限度見本として汎用性が大きい。 はんだ付け写真ギャラリーも活用してください。 |
9-5 | 認定検査員による検査が実施されているか? | 外観検査を実施する人の視力に問題があったり、はんだ付けの知識が不足していた場合、正しい検査ができません。 | 7-10項目の「はんだ付け検定」の実技、筆記試験に合格したした人は、同時に、認定検査員としての能力もあるとみなして良いでしょう。 合格時に、「認定検査員」の資格を同時に認定し、リストを作成しておきます。 3:はんだ付け技能認定者リストサンプル ・はんだ付け認定検査員リスト(兼任) |
10.クレーム管理詳しくはこちら
チェック項目 | 要約すると | 準備しておきたいもの | |
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10-1 | クレームの処理メール(処理票)は明確であり、迅速に処理されているか? (処理票の整備、保管を含む) |
クレーム処理票の発行から受付、回答の提出までのルートを図示し、その通りに実施されている必要があります。 迅速に処理するためには、処理期限も定めておいたほうが良いですね。 その都度、処理ルートが変わるようでは、まずいわけです。 |
30:クレーム処理票の例 クレーム処理票には、処理ルートが図示されていること。 回答期限を定めておくこと。 |
10-2 | クレームの対策内容は、真の原因を追究し、対策を実施しているか? | 発生原因に対する技術的な対策と、流出原因に対する管理的な対策が実施されているかがポイントになります。 作業標準類への反映なども重要なポイントです。 再発があった場合は、真の原因をつかみきれていないことになります。 |
実際に、クレームが発生した時の処理内容をチェックされます。 保管された、上記の「クレーム処理票」の内容と、現場での対策の実施状況を比較されます。 |
10-3 | クレームの発生内容回答の内容について品質管理責任者が確認し、必要な指示をおこなっているか? | クレームが発生したこと、クレームの内容について、品質管理責任者が知らないようでは困ります。 製造部門に任せっぱなしではいけません。 |
「クレーム処理票」の処理ルートには必ず品質管理部門を加え品質管理部門で原因・対策の確認を行います。 また、必要ならばライン停止などの指示を出します。 |
10-4 | 品質管理責任者がクレームの対策結果を確認しているか? | 報告を受けて指示を出したまま放ったらかしになっていないでしょうか? その後の、フォローができているかを問われています。 |
対作品の第一ロット製造時、または、定期的製造部門パトロールで立会いにより品質確認を行い、その記録を残しておきます。 「クレーム処理票」の処理ルートに現場確認の項目を加えておくのも良い方法です。 |
11.経歴管理詳しくはこちら
チェック項目 | 要約すると | 準備しておきたいもの | |
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11-1 | 出荷ロットのNoから製造条件、出荷検査記録がトレースできるか? | たとえば、市場に出た製品で数年後に 不具合が発生した場合、そのロットNoから使用材料、製造条件、出荷検査の記録が追跡できる必要があります。 たとえば、ある期間何らかの理由でハンダ付けの条件が従来と違っていた場合、 不具合の発生したロットがその期間に製造したロットに限定できれば、 不具合の発生原因がすぐに特定できるだけでなく、市場に流通したすべての製品を回収しなければならないといった事態を回避できます。 |
製造記録書の保管、始業点検票などの設備の点検記録 ※日付けと作業者名、点検者名を記録しておくこと。 なんらかの異常があった場合は、製造記録書に記しておくことが身を守ります。 29:製造記録書サンプル |
11-2 | 品質変動(異常処理、設計変更、生産方式、管理方式の変更)が行われた際、変更内容の履歴が記録されているか? | こちらも上記と同様、製品ごとに品質の変動があったことを記録しておけば具合発生時に迅速に対策を打つことができます。 会社と自分の身を守ります。 |
工程変更連絡書を時系列ごとに保存するなどの方法があります。 (ノートなどに記録しても良い) 10:工程変更連絡書サンプル |
12.物流管理詳しくはこちら
チェック項目 | 要約すると | 準備しておきたいもの | |
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12-1 | 先入れ、先出しの手順は、明確になっておりその通り実施されているか? | 先入れ、先出しの方法は、書面に書いただけでは実際の運用が困難です。 部品棚などに部品を入庫する経路部品を出す経路をわかりやすく表示するなどの仕組みが必要です。 |
部品棚などへの具体的な先入れ、先出しの表示、標識。 32:先入れ、先出しの運用の例 |
12-2 | 包装、梱包、輸送方法は指示通りされているか? | たとえば、特急品や小ロット品、数量が一時的に増えた場合など製品の保護に問題が発生する可能性があるような包装、梱包、輸送方法がとられているとまずいわけです。 | 特急品や小ロット品、数量が一時的に増えた場合に、客先の指定以外の包装、梱包、輸送方法が行われていないかを事前に確認しておく。 客先の指定以外の方法を用いたい場合は、技術的な裏付けを取った上で承認をもらっておく。 11:仕様変更依頼書サンプル などの使用。 |
12-3 | 客先への納品時の品質区分が明確になっているか? | 品質区分とは、たとえば生産初回品、設計変更品、工程変更品、特採品、保留品など、通常の量産品とは品質的に異なる可能性のあるものを言います。 | 通常の量産品とは、異なる品質区分にあるものは、適切なタイミングで ※生産初回品、設計変更品、工程変更品などは、投入時、特採品、保留品などは、即時表示を行い納入します。 表示カードを作成しておくと良いですね。 |
12-4 | 長期在庫品は定期確認を実施し、完成品を出荷する場合、再検査を実施しているか? | 長期在庫品は、保管状態にもよりますが、湿気や気温などによって品質的な影響を受ける場合があります。 | 長期在庫品に対する定期確認、再検査の手順を定めて確実に運用します。 再検査の記録は、製造記録書にも残しておきます。 31:長期在庫品 再検査実施事項サンプル |