NPO 日本はんだ付け協会 > はんだ付けの知識3

ハンダゴテの選び方(日本はんだ付け協会の場合)

日本はんだ付け協会では、主にハンダゴテを使ったはんだ付け技術を通して、人材を育成し、はんだ付けに対するイメージを変えつつ認知を広めることを目的としています。
そこで、まずは、ハンダゴテの正しい選び方について解説します。

下の写真は、現在市販されているハンダゴテの例です。

はんだコテセット

はんだ付け職人のハンダゴテセット


ハンダコテの役割は、ハンダ付けしたい母材と糸ハンダを温め、「約250℃で約3秒間はんだの溶融時間」を作り出すことにあります。
このように書くと、誤解される方がおられるのですが、「ハンダが溶ければいいんだろう?」という考え方ではハンダゴテを選ぶことはできません。
最近では、100円ショップやホームセンターに、たいへん安価なハンダゴテが販売されています。 しかし、こうしたハンダゴテは、極端に言えば、数十年前の「温度を制御する技術が無かった時代の遺物である。」と言っても良いでしょう。
ところが、一般の方で多いのが
1.持ち運びに便利だ 2.安い 3.ハンダゴテが悪くても腕でカバーできる
という理由で、1000円~2000円程度のハンダゴテを使っておられる方です。
中には「20年前からこれ使ってる・・」という方も居られます。
100円ショップにもハンダゴテが売っている時代ですから、「これなら上等だ・・」と思われるのかもしれません。 こうしたハンダゴテには、ニクロム線ヒーターだけでなく、セラミックヒーターが使われているものもあるのですが、コテ先温度の調整機能があるものは皆無です。
で・・一番問題なのはその【コテ先温度】です。
いろいろなハンダゴテのコテ先温度を実測したのですが、なんと550℃の温度を叩きだしたすごいハンダゴテもありました。 こういうハンダゴテは、電源を入れた時点で既に、コテ先が赤や紫の酸化膜に覆われており、ハンダを弾くばかりでなく、一瞬でフラックスが蒸発して焼けてしまうため、まともなハンダ付けはできません。
もし腕でカバーするとなると、濡れ雑巾で、ジューッ!とコテ先を掃除しながら温度を下げておいて、コテ先温度が上昇するまでの短い時間で、ハンダ付けを完了する・・といった技が必要になります。 でも残念ながらこれでは、良好な合金層を作り出すだけの時間が取れないですね。
にもかかわらず、こうしたハンダゴテはまるで、温度が高くなることを、「ハイパワーで、高性能の証である」かのように、パッケージに表示しています。

ホームセンターなどでは、こうしたハンダゴテがズラリと並んでいることもあって、初心者の方が誤解しやすい環境になっています。 くれぐれも、だまされないようにしてください。
当協会では、初心者の方であっても、「温度調節機能つきのハンダゴテ」をお薦めします。
コテ先の温度は約350℃近くに調節できるものが理想です。
価格は6,000円~以上・・と、先に紹介した安価なものと比べると高額ですが、その差は、使ってみると歴然としています。 長らく使えるものですから、少しいいモノを購入されることをお薦めします。 しかし、ここでひとつ問題があります。
一般の方がハンダゴテを購入しようとした場合、このような良いハンダゴテが選べなくなっていることです。 実はハンダゴテメーカーは、たくさんのハンダゴテを開発しています。
カタログを見てもらうとわかるのですが、たとえばHAKKOさんですと、ハンダゴテの種類だけで35種類、その各ハンダゴテに対してコテ先がそれぞれ10~25種類もあります。
ハンダゴテのメーカーは、国内で販売されているだけでも20社程度はあるはずですから、膨大な数の組み合わせがあることがわかると思います。
本来、自分のハンダ付けの用途に合わせて、メーカー、ハンダゴテの機種、コテ先の形状を選んでいただくのが正しいありかたです。
ところが現状はこうした選び方をできる方・・というのはかなり少なくてたいていは、
1.ホームセンターに並んでいる中から、良さそうなものを選ぶ
2.工具屋さんや商社さんに勧められるまま
3.お客さんが指定している・・のではないでしょうか。
こうした環境に置かれている、ハンダ付け業界の根本的な原因は「ハンダ付けに対する正しい知識」の啓蒙不足にある。と当協会では考えています。
世間が持つハンダ付けに対する知識というのは、20~30年前からあまり変わっていません。
このため、せっかくハンダゴテメーカーが、いいハンダゴテを作って店頭に並べても、お客さんに「良いハンダゴテ」に対する知識が無いために、安いハンダゴテしか売れません。
そこでハンダゴテメーカーは、商社さんを通して、電機メーカーへ売り込むわけですが、ここでも通常商社マンには、ハンダ付けに対する教育は行われていませんので、販売の際にハンダ付けの本質的な話をする機会はありません。
また、最近では電機メーカーでもハンダ付けに対する教育が施されている所は少ないのが現状です。 さらに、学校教育の場では「ハンダ付けとはなんぞや?」ということを教えてくれるところはほとんどありません。(先生方自身も勉強する機会がない。)
この背景には、「ハンダ付けの教科書がない」という一面もあります。
(あっても、発行が20年前だったり、絶版になっていたり)
ハンダゴテはこの数年で大きく進化しています。 昔のように部品が大きくて、金物端子が主流だった時代はなんとかなりましたが、現在のように、部品が小型化し密集した上、熱に弱い電子部品などが使われている基板に昔のハンダゴテを使うのは無理があります。
オリンピックのマラソン競技にゴム長靴を履いて出場するくらい無理があります。
ですので、ハンダゴテを選ぶ際には、「温度調節機能つきのハンダゴテ」を選ぶようにしてください。 コテ先温度が350℃近くに調整できたほうが良いです。
初心者=安物 という公式は、スポーツでも当てはまりません。
ゴルフでもスキーでも、昔の道具は難しかったですが、今の最新の道具を使えば、最初からそこそこ楽しむことができます。 (ちょっと一息・・長くなりました・・)
さて、「どんなハンダゴテがあるのか?」という具体的な話になりますと、一般の方が購入できるハンダゴテというのは、そんなに多くありません。
たとえば、Googleで【温度調節機能 ハンダゴテ】と検索してみると、3/14現在では6位にやっと、goot 太洋電機産業さんのPX-201-0903が出てきます。
だいたい6000~8000円程度が価格帯となってきますが、各メーカー共にこの価格帯のハンダゴテは、ハンダゴテのグリップに小さなボリウムや温度ボタンが付いたものが主流です。
一般の方が、趣味でハンダ付けされる場合なら、ベースとなるハンダゴテはこのクラスのもので十分です。 ただし、これらのハンダゴテを十分に活用するためには、コテ先のバリエーションが重要になってきます。
「温度調節機能つきのハンダゴテ」を買っただけでは、ゴルフに例えると、「いいドライバーを買った」だけに過ぎません。 アイアンやパターがないとゴルフは闘えませんね。
ハンダゴテについても、交換用のコテ先のことを考慮して、購入先やメーカーを選択する必要があります。 というのも、ハンダゴテ本体を店頭やWEBSHOPで安く購入できたとしても、交換用のコテ先や保守部品が手に入れられないようでは、ハンダゴテの能力を10%も引き出すことはできないからです。 そういう意味で、現在のハンダゴテメーカーさんは、商社さんや代理店を通してしか販売網を持たないことが多いですから、非常に選択肢を少なくしていると言えます。
もちろん、企業にお勤めの方は、商社さんを通してカタログを取り寄せれば、全ての交換部品や、保守部品を取り寄せられますから、たいへん恵まれていると言えます。
このような背景から、一般の方がハンダ付けに馴染む機会が少なくなり、一部のプロ的な方との壁ができてきています。 大きなハンダゴテメーカーさんでは、簡単にシステムを変えることはできません。(取引先との関係もあります。)

そんな中、この3月からHAKKOさんがWEBSHOPにてすべての商品を購入できるように対応してくれました。

こちらから→http://ec.hakko.com/

今後は、各メーカー共に追随してくれるようになり、一般の方が、ハンダゴテや道具を自由に選べるような環境になっていくと思われます。
他にも、株式会社ノセ精機では、『はんだ付け職人のハンダゴテセット』と名づけた初級者向けのセットをWEBで販売を始めています。 交換部品、保守部品が、後日でもすべて購入できるようになっています。
コテ先の種類も代表的なものが揃っています。

こちらから→http://www.noseseiki.com/handakote/index.html

でも結局、「何を選んだらいいのかわからない!」という方は、ご利用になられるといいですね。

(はんだ付け職人が地震を持ってお薦めするハンダゴテセット)限定モデル
(はんだ付け職人が自信を持ってお薦めするハンダゴテセット)限定モデル


参考文献:目で見てわかるはんだ付け作業(日刊工業新聞社 著 野瀬昌治)
参考DVD:目で見てわかるはんだ付け作業(株式会社ノセ精機)

はんだ付けアートはんだ付け検定 認定者在籍マークは、はんだ付け検定合格者が在籍しており、はんだ付け作業に従事していることを当協会が認定したことを示すマークです。


TOP